「ランゴリアーズ」
（スティーヴン・キング／文春文庫）
「スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編」
（スティーヴン・キング／新潮文庫）
「ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編」
（スティーヴン・キング／新潮文庫）
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●文庫化されたスティーヴン・キングの「ランゴリアーズ」（文春文庫）を読む。新作の翻訳権が新潮社に移ったせいか、次々とキング作品が文庫化されている。４作からなる中篇集Four Past Midnightの前半がこの「ランゴリアーズ」で、後半が「図書館警察」。まあ、中篇といっても普通の長編くらいの厚さがあるんだけど、キング的にはこれで中篇なんでしょう。表題作は、飛行機の中で居眠りをして目がさめると乗客・乗務員のほとんどが消えていたという、トゥワイライト・ゾーン系のホラー。90年出版作ながらもテイスト的には初期ホラー時代風。新味に欠けるがまずまずの出来栄え。併録の「秘密の窓、秘密の庭」は作家を主人公にしたもので、テーマは剽窃。こちらのほうがおもしろい。ベストセラー作家の主人公の下に、ある日見知らぬ男がやってきて「おまえは私の作品を盗んだ」という。確かに男が持ってきた原稿は主人公の作品とほぼ同一のものだったが、それを盗んだ記憶などない……というお話で、実は相当コワい。
●同様に中篇（あるいは短編）４作を収めた過去の作品で「恐怖の四季」ってのがあるけど、あちらは名作ぞろいで、４作中３作が映画化されてる。「スタンドバイ・ミー」が一番有名だけど、近く映画が公開される「ゴールデン・ボーイ」、この原作はホントに怖かった。同じ「ゴールデン・ボーイ」（新潮文庫）収録の「刑務所のリタ・ヘイワース」（映画では「ショーシャンクの空に」というタイトル）は、珍しく甘口の読後感のよい話である。これも傑作。ただし映画のほうはハリウッド的な要請なのか、原作以上に砂糖をまぶしていて、それが弱点かなとも思うのだが、それでも傑作にはちがいない。(1999/07/21) |
「ランゴリアーズ」。剽窃をテーマにした併録の「秘密の窓、秘密の庭」がオススメ。