原作「ハンニバル」上巻
原作「ハンニバル」下巻
（トマス・ハリス著／新潮文庫）
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●遅ればせながら、トマス・ハリスの「ハンニバル」（新潮文庫）読了。ベストセラー「羊たちの沈黙」の続編。かのレクター博士は今回の作品でも元気である。お肉パクパクもぐもぐで、あいかわらず食欲旺盛なり。よだれ垂らしながら読んじゃう人は外出禁止。
●「レッド・ドラゴン」「羊たちの沈黙」と違って、今回は全面的にレクター博士（とクラリス捜査官）の物語なのだ。なにせ、これまでは刑務所の中で拘束されてたのが、前作の終わりで自由を得ちゃったんだから、さあ大変（笑）。悪魔そのもののような犯罪者でありながらも、人並みはずれた知性とヨーロッパ流の教養を身につけた博士が旅立ったのはフィレンツェ。いやー、このフィレンツェでの優雅なレクター博士の暮らしには参ってしまうよ。前にもグールドのバッハ／ゴルトベルク変奏曲を聴くシーンがあったと思うが、今回は刑務所の外だ。金もたっぷりある。初期鍵盤楽器を集めて、自分でゴルトベルクを弾いてうっとり。愛すべきキャラクターを持ったシリアル・キラーである（笑）。
●って、全然本筋と無関係なところで盛り上がってしまうが、前の２作より傑作。サスペンスに加えてユーモアもあり（あのブタのアイロニー。くくくっ）。ネタバレになるから書けないけど、ラストシーンはあれしかない。一種の魂の救済っすね。ラスト前にまずこれはアメリカでは映画化できないだろうってシーンがあるけど、あれはどうするんだろうねえ。読んでるだけでもかなり気分悪くなるのだ。(2000/06/08) |
トマス・ハリスの「ハンニバル」。レクター博士がフィレンツェでお肉パクパク！