DVD：「WATARIDORI コレクターズ・エディション」
（ジャック・ベラン監督）
CD：「WATARIDORI オリジナル・サウンド・トラック」（輸入盤）
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●傑作。これはその名の通り、渡り鳥を描いたドキュメンタリー・フィルムである。ほとんどのシーンは鳥が飛んでいるだけの映像で、演出として付加された物語的な要素もあるにはあるが、そんなものとは関係なくただ映像だけで十分に傑作。ワタシはこの作品を映画館で見たのだが、鳥が飛んでいるだけの画面にまったく飽きることがなかった。
●普通、映画を観ると登場人物に共感するものである。「スーパーマン」を観ると自分も空を飛べるような気になってしまうし、ヤクザ映画を観た後はなぜか肩を怒らせながら映画館を出てゆく。ではこのWATARIDORIを観るとどうなるか。
●なんと、群れを成して飛ぶ渡り鳥にちゃんと共感できちゃうのである。ウソじゃなくて、ホントに映画館を出た頃には自分がツバメかアホウドリにでもなったような気になってしまうのだ。ああ、冬が来る前に南に飛ばなくちゃなあ、ちゃんと秋口には仕事終わらせとかないと大変だあ、とか思い悩んだりする（ちょっとウソ）。賭けてもいいが、映画館を出てきた客の半数以上は、心のなかで鳥になっていた。
●監督のジャック・ベランは、鳥たちを撮影に慣れさせるために、数多くをヒナから育て、生まれたときからエンジン音を聞かせていたという。そうじゃなきゃ、鳥たちと並行して飛んでいるカメラなんて絶対にありえないもんな。自然を描いたドキュメンタリーを作るには、徹底した人為が必要なのは当然のことで、そこに文句をつけてはいけない。肝心なのは、いかに演出するか。そしてジャック・ベランは巧く演出した。CGは一切使われていない。
●大空に羽ばたきたい人に、ぜひ。(2003/10/09)
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「WATARIDORI」。朝夕冷え込む季節になってきたから、そろそろ飛ばなきゃ。