「シモーヌ」。S1m0neっていうのを訳すなら、「シモーマ」とか「シモース」だよねっ！ |
CD：シモーヌ
（オリジナル・サウンドトラック）
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●映画「シモーヌ」を観た。ストーリーは一言で説明できる。売れない映画監督タランスキー（アル・パチーノ）が、CGで作られた実在しない女優を起用したところ、その女優が大スターになり、タランスキーは真実を公表できない。さあ、どうするアル・パチーノ。
●「トゥルーマン・ショー」の脚本を書いたアンドリュー・ニコルによる監督・脚本なのだが、物語のテーマも同じ、テイストもほぼ同じ。つまり、「メディアが作り出したフェイク」っていういろんな可能性を持ちそうなテーマを掲げながらも、やりたいことは「おちょくり」で、コメディと思ってみるのが正解。ノリは「ロボコップ」。
●だから、やや悪乗り気味のドタバタや、S1m0ne＝Simoneみたいなディテールは非常に冴えているのだが、一方でさりげなくストーリーを進行させる職人的手腕が不足していてぎこちない。たとえば冒頭からのタランスキーがどうやって「シモーヌ」を入手するかといったあたり、唖然とするほど脚本がつたない（のか投げやりなのか）。
●でも、コメディとしてはとても楽しめるので、メディア批判だのフェイク論だのと半端なことを言わないで、笑いながら観るのが吉。ワタシが一番好きなのは、タランスキーの作った劇中劇ならぬ映画中映画っすね。どうやらタルコフスキーかアンゲロプロスみたいな文芸性の高い映画を作っているらしくて、映画中映画もそれっぽい。バーバーの「弦楽のためのアダージョ」とかフォーレの「レクイエム」とか音楽に使ったりして、なんかもういかにもなのが実に可笑しいんだな（これ自体がフェイク）。
●それにしてもアル・パチーノがこんなダメ男役をやるようになるんだから、わからないもんである。「ゴッドファーザー」の冷徹な色男をこんなふうに変えちゃうんすね、ったく歳月ってヤツぁ……。(2003/09/07)
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