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南部カルチャーに共感するのって難しいよね。「楽園をください」



DVD:「楽園をください」

(アン・リー監督)
●南北戦争を舞台とした、若者たちの青春の物語である。南北戦争というテーマは比較的日本人にはなじみのないものだろう。この映画の主人公たちは南側でありながら正規の南軍に加わらずゲリラとして戦う若者たち。場所はミズーリ州。トビー・マグワイア演ずる主役ジェイクの立場は複雑で、ドイツ移民であるためオヤジは北軍シンパ、しかし本人は南部男であることにアイデンティティを求めている。しかもこのゲリラ隊には、元の主との友情を礎として黒人まで参加している。ワタシたちはこの戦争の結末を知り、奴隷解放運動も知っているから、ついこう思ってしまう。南部のために戦って命を粗末にするよりは、キミらは北部の側についたほうが幸せになるんじゃないの(笑)。
●監督アン・リーはヤンキー(北軍)に生活を完全に変えられた南部の人々に、台湾人である自身を結びつけている。南部男たちの若者の視線、価値観がこの情け容赦のない戦争を通じて、葛藤しつつも微妙に変化してゆく様を描く。これはアメリカ的な民主主義、自由な社会が得られるまでの大きな流れを、敗者の側に属する個人を通して描いた希望の物語なのである。
●といったテーマ性より優先するお楽しみが二つ。ひとつは素朴なアメリカの風景。自然の豊かさを描くのではなく、なにもない野原のような単なる田舎の風景がよい。もうひとつは(主に女性向だが)長髪美男子コスプレ大会化している役者たち。耽美系な人は必見かも。(2001/09/21)

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