DVD：「イギリスから来た男」
（スティーヴン・ソダーバーグ監督）
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●老テレンス・スタンプの渋さを味わうための映画。イギリスから来た男、すなわち主役テレンス・スタンプがどこへ行くかといえばロサンジェルス。イギリスで刑務所暮らしを終えると、娘がロスで不可解な死を遂げていた、そこで父は復讐へと旅立つ……というストレートな物語である。テイストはハードボイルド。ジジイだからといって銃にばかり頼るわけにはいかない、やっぱり素手で殴りあわなきゃ、とばかりに大活躍。きわめてクールであり、スタイリッシュである。
●原題のlimeyはイギリス人の蔑称だという。劇中でもテレンス・スタンプはイギリスの汚いスラングを連発しているそうだが、さすがにこのあたりはワタシの英語力ではわからない。ただ、邦題を「イギリスから来た男」としたのは成功では。なんでも原題をカタカナにすればいいというものではない。
●時制を無視していくつかのシーンが並んでいたりするような細かい演出もあるが、このあたりは単調さを避けるためのアイディアといった程度か。映画中で引用されるテレンス・スタンプ20代後半の主演作「夜空に星のあるように」(1968)も、その若き日の美青年ぶりを同時代で知らないワタシなんかにはピンと来ない。60年代って知識でしか知らないからなあ。
●60年代といえば、ここに出てくる音楽プロデューサー、ピーター・フォンダをはじめとするロスの業界の方々も実にそれらしくてよい。過去の栄光にすがる堕落した人々ってのは憎めないよな（ってのは人によるか）。しかしスティーヴン・ソダーバーグって1963年生まれだろ。そんな若い監督が撮った映画なのに、どうして60年代ノスタルジーなんでしょーか。(2001/09/27)
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ハードボイルド爺さんのクールな復讐譚