DVD:「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」
（アナンド・タッカー）
CD:「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」
（サウンドトラック）
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●映画「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」。どうも一般ピープル的には期待したほどのヒットにまでなってないようだが、クラシック音楽ファン的には大いに話題になってしかるべきものじゃないかと。ジャッキーことジャクリーヌ・デュ・プレの短すぎた生涯を姉の証言を題材にストレートに映画化した作品。デュ・プレの場合、映画になんかならなくたってすでに伝説にはなってるわけだが、やはり天才音楽家を妹として持ってしまった姉の視点というのはそれなりに興味深い。
●観たのがだいぶ前なので記憶が薄れちゃってるところもあるんだけど、たとえば姉夫婦のところに逃げ込み、そこで姉の夫を「共有」しちゃうような前宣伝で騒がれてた件も、デュ・プレを単に天才ゆえに奇矯な人物であったとしているわけではなく、彼女の「がけっぷち」なキャラクター、追い詰められた孤独さをしっかり描いていて、意味レスにスキャンダラスなわけではない。若き日のバレンボイムは（期待通り？）悪役として描かれていた。才能と野心を持つ若者らしい傲慢さと未成熟さを持った人物として。
●ただし映画の終盤は評価の分かれるところか。なにしろ実話のほうがあまりに悲劇的なので、それを説明調で駆け足で追っちゃうとかえって薄っぺらな印象を残しがち。個々のエピソード、テーマのおもしろさに比べて、映画全体は弱い。でもまあ、音楽ファンなら観て損ないっす。
●音楽家の映画っていろいろあるけど、なんか一発すげえ傑作を誰か撮ってくれないかなあ。虚実ないまぜとなった話がいい（最近レンタルでも観られる「レッド・ヴァイオリン」はファンタジーのつまり具合はすごくよかった。オムニバス形式の限界はあるんだけど）。殺人作曲家ジェズアルドあたりを主人公にしてて、最後にみんな気が狂っていくような話とか（笑）。(2000/03/29) |
天才音楽家の悲劇。映画「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」。