「神はダイスを遊ばない」、最強の賭博小説。 |
「神はダイスを遊ばない」
（森巣博／新潮文庫）
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●賭博小説の傑作。痛快。あっという間に読める読みやすさも吉。どこがいいかっていうと、カジノの「常打ち賭人」たる著者のギャンブル観が明快なところで、確率的な必然を無視していない。つまりカジノ（著者は「カシノ」と書く）では大概のゲームは２％程度の胴元控除があるので、賭け続ければ確率的に２％の損失に収束していくことをちゃんと明言している。すばらしい。カジノのような賭場に働く基本原理は、胆力がすべてを超越して勝利するオカルトではなく、保険会社と同じく「統計と確率」のルールだろう。
●でありながら、無味乾燥どころか男のロマン（笑）に満ち溢れたドラマがしっかりと盛り込まれているのがスゴい。スゴすぎる。これを最強の賭博小説と呼ばずしてなんと呼ぶ。(2004/01/10)
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