side_b 観て、聴いて、読む。

HOME / リンクはご自由に

この「オチ」だけが問題。ロバート・ゴダードの「日輪の果て」



「日輪の果て」上巻

(ロバート・ゴダード/文春文庫)




「日輪の果て」下巻

(ロバート・ゴダード/文春文庫)
●ロバート・ゴダードの「日輪の果て」(文春文庫)読了。ガンガンと翻訳されてるんだけど、いいのか→ゴダード。過去と現在が複雑に絡み合う重層的で精緻なプロットは今回も健在。ただし語り口は意外と平易、バキバキと物語世界に誘ってくれる。おお、これは大傑作の予感……が、あれれ、このオチは?
●「日輪の果て」は大傑作「蒼穹のかなたへ」の続編で、主人公はあのダメ男ハリー(ただし前作を読んでから読む必要はまったくなし。完全に独立した作品)。うだつの上がらない中年男、しかし知性と行動力には恵まれた主人公ハリーは、この年代の男性を描いたものとしては珍しく魅力的な人物なのだ。そのハリーに息子が存在したことが知らされるところから、物語は始まる。しかも息子は天才数学者、ただし回復の見込みのない昏睡状態で病院に横たわっている。話を聞けば、息子の昏睡には何者かの悪意が及んだものではないかという疑いが。ハリーは顔を会わせることもなかった息子に対して何をしてやれるのか……。相変わらず、登場人物の描き込みは見事で、奥行きのある物語になっているのだが、それにしても、ワタシゃ最後まで読んで何か読み落としたのかと思ったっすよ。ええ、そういう話なのかい、これは。これ、ワタシのゴダード観からすると、受け入れがたいオチだと思ったんだけど、どうですか?>既読の方々。離れ業か反則かと言われれば、反則だと思うぞ、ネタバレになるから具体的には書けないけどさ。(1999/04/21)

>> CLASSICA >> Side_B HOME