DVD：「デモリション・マン」
VHS：「デモリション・マン」
（マルコ・ブランビヤ監督、シルベスター・スタローン主演）
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●なにげなくテレビをつけたら、映画「デモリション・マン」を放映していた。スタローン主演の「SFアクション大作」。舞台はオーウェル的な近未来管理社会、凶悪犯罪なるものを忘れてしまった人々の世界で、過去に冷凍された犯罪者が解凍されて大暴れ。もはや殺人などというものを見たことも聞いたこともないような21世紀の人々には、このような凶悪犯に対抗するすべがない。で、過去の野蛮人には同類を、ってことで「こわし屋」と呼ばれた警察の問題児（スタローンだ）を前世紀から甦らせて、戦わせる……という話。地下に管理社会から逃れる反体制派が潜伏してたりとか、ありがちな未来図。ユーモアのセンスももうひとつ、風刺と呼べるほどの毒もなくて（その辺のセンスの良し悪しってことでいうと、同じ未来の警察を舞台にしていても「ロボコップ」シリーズのほうがずっと洒落てる）、あくまでもスタローンのアクションが主役かつ見もの。
●この映画、劇場公開前の制作途上の段階では、結構ワクワクさせられたのである。なぜか。当初、この映画はアルフレッド・ベスターの「分解された男」（創元推理文庫←当時。今もあるのかどうかは知らず）を原作として構想されていたのだ。読んだのがあまりに昔なのでだいぶ記憶も薄れているのだが、「分解された男」や「虎よ 虎よ！」といったベスターのSFは非常に「カッコいい」ものとして認識されていた。それがスタローンみたいな大スターを使って（カネをかけて）撮られるんだから、「ブレードランナー」のようにカルト的名作になるんじゃないかと期待していたわけ。ところが、制作途上でハリウッドのシナリオ・ライターたち（複数）がどんどん脚本に手を入れて、ああだこうだとやっている内に、原作とは似ても似つかぬ物語になってしまい、最終的には映画のクレジットからアルフレッド・ベスターの名前も削られてしまったのである。あー、納得いかねーと思ったわけですよ。いや、スタローンを見たい人にはこれでいいんだろうけどさ。（2000/01/10） |
まさかこんな映画になってしまうとは。「デモリション・マン」。